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住民監査請求の結果について

更新日:7月14日



2021.7.16 住民監査請求の通知が届きました。


 

監第355号

令和3年7月16日




沖縄県監査委員 安慶名均

沖縄県監査委員 新垣真秀

沖縄県監査委員 上原 章

沖縄県監査委員 山内末子


沖縄県職員措置請求について(通知)


令和3年6月4日付けの沖縄県職員措置請求(以下「本件請求」という。)については、下記理由により却下します。



 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項に定める住民監査請求は、普通地方公共団体の執行機関又は職員による違法又は不当な公金の支出等の財務会計上の行為又は怠る事実(以下「財務会計行為等」という。)によって、当該普通地方公共団体に損害を与え、又は与えるおそれがある場合に、その事実を証する書面を添えて、監査委員に対し、監査を求め、当該違法又は不当な財務会計行為等を防止、是正等するために必要な措置を講ずべきことを請求することができるものである。


 本件請求において、請求人は、令和元年10月31日に出火し、首里城公園の城郭内にあった正殿等6棟の建築物群が全焼した火災事故につき、火災の拡大及び延焼を阻止できずに正殿等の全焼を招いた責任は、指定管理者として首里城公園の管理を行うこととされ、その保全に最善を尽くすべき注意義務(以下「最善注意義務」という。)を負っていた一般財団法人沖縄美ら島財団(以下「財団」という。)にあり、首里城の正殿等の全焼によって県が被った全損害について財団は最善注意義務違反に基づく損害賠償責任を負っているところ、県が被った優に1億円を越える損害賠償金の支払につき、知事が財団に対する請求を怠っていることが違法であるとしている。


 本件請求は、基本協定書に基づき財団が県に対して毎年度支払うことになっている固定納付金の令和元年度当初計画額と実際に支払った金額との差額9,730万円が県の損害であるとするとともに、県指定有形文化財3点が損傷したことにより5,000万円を下回ることのない損害を県は被っており、財団に対し少なくとも1億4,730万円の損害賠償請求権を有しているが、その債権を行使しないことが違法な怠る事実であり、当該怠る事実を改めることを求めているものと解される。


 違法又は不当に債権の行使を怠る事実に関して最高裁判所は、「地方公共団体が有する債権の管理について定める地方自治法240条、地方自治法施行令171条から171条の7までの規定によれば、客観的に存在する債権を理由もなく放置したり免除したりすることは許されず、原則として、地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はない」(平成16年4月23日最高裁判決)、「もっとも、地方公共団体の長が債権の存在をおよそ認識し得ないような場合にまでその行使を義務付けることはできない上、不法行為に基づく損害賠償請求権は、債権の存否自体が必ずしも明らかではない場合が多いことからすると、その不行使が違法な怠る事実に当たるというためには、少なくとも、客観的に見て不法行為の成立を認定するに足りる証拠資料を地方公共団体の長が入手し、又は入手し得たことを要する」(平成21年4月28日最高裁判決)と判示しており、違法な怠る事実があるというためには、その前提として客観的に損害賠償請求権の存在を認定するに足りる証拠資料が示される必要がある。


 これを、本件請求についてみると、請求人は、「火災の拡大及び延焼については、①防火設備の不備による失火発見の遅れと初期消火の不十分、②消防活動上の障害要因による消火活動の不十分、③防災意識の欠如による消火条件の整備不十分にあったことは明らかであり、これらの不十分がなければ、城郭内の正殿をはじめとする建築物6棟の全焼という悲惨な結果を迎えることはなかったと考えられる」とし、「いずれも、県に対し、公園内施設の維持管理及び修繕の責務を担っていた指定管理者である財団が、その責任(管理上の最善注意義務)をもって是正ないし整備をしておくべきものであり」、「その責任に基づく注意義務を尽くすことなく、首里城の焼失を招いてしまった財団が、首里城の焼失によって県が被った損害について全額賠償すべき責任を有することは明らかである」としているが、これらは請求人の考えを述べているにとどまり、他に客観的な証拠も示されておらず、県の財団に対する損害賠償請求権の存在を認定するに足りる証拠資料が示されているとはいえない。


 また、県の財団に対する損害賠償請求権があるというためには、県に損害が生じていることを要するが、請求人が主張する固定納付金及び県指定有形文化財に係る損害については、次のとおり県に損害が生じているとはいえず、これらに対して県が損害賠償請求権を有するとは認められない。


(1)固定納付金について

 首里城正殿等は県が同施設を設置する国から管理許可を得て管理しており、県は、国に対して都市公園法施行令等に基づき国有財産使用料を支払っている。また、県から指定管理者に指定され同施設の管理を行っている財団は、県に対して基本協定書等に基づき固定納付金を支払っており、その額は国有財産使用料相当額とされている。


 令和元年10月31日の首里城正殿等の火災による被害により、同日以降同施設の利用が不可能となったことから、令和元年度の国有財産使用料については、都市公園法施行規則等に基づき所定の手続を経て減額された。そのため、固定納付金についても、年度協定書が変更され、減額後の国有財産使用料と同額に改められた。したがって、年度協定書に基づき、県が国に支払う国有財産使用料と同額の固定納付金が財団から県に支払われたものであり、県に損害が生じているとはいえない。


(2)県指定有形文化財について

 本件請求において首里城正殿等の焼失により損傷したとされる県指定有形文化財3点は、いずれも財団所有のものであり、県の所有に属する県の財産ではないことから、これらの県指定有形文化財の損傷により、県に損害が生じているとはいえない。


 よって、違法な怠る事実の前提となる県の財団に対する損害賠償請求権が客観的に存在しているとは認められず、請求人が主張する当該怠る事実が、住民監査請求の対象となる違法又は不当な怠る事実に該当するとはいえない。


 以上のとおり、本件請求は、法第242条第1項に定める要件を欠く不適法な請求として却下することを相当と判断した。

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